WEB分析

価値についての考察(1)

EC事業について考える

Posted on 2014年6月27日

~序~

商品及びサービスには、それぞれ価値かあり、その価値に対して価格が存在するものでしょう。
私たちは、日常生活で何らかの商品(サービス)を購入する際、無意識に“高い”“安い”“お手頃”などの判断をしています。
では、その判断のもととなるのは何なのでしょう。

商品を購入する際、その商品の価格が高いか安いか妥当かを判断しているはずです。これを公式にすると「商品=価値/価格」と表現できるでしょう。
また、購入者と商品の関係によって、価値/価格の判断は異なるのではないかと考えます。
それらを、以下の6軸に分けて考えてみます。
※以下の6軸については数回に分けて書きます。

《価値/価格判断の6軸》
1.商品そのものに対する価値/価格判断
2.購入経験値による価値/価格判断
3.予算帯による価値/価格判断
4.比較による価値/価格判断
5.ブランドとしての価値/価格判断
6.シーンでの価値/価格判断

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1.商品そのものに対する価値/価格判断
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商品は価格と価値とのバランスで決まるという考え方です。
価値が高ければ価格も高い、裏を返すと価格が高いということは価値も比例して高いという考え方です。逆に、価値が低ければ価格も安いということになります。

ここで、価値というものについて考えていきます。
一言で価値といっても、価値はいくつかの構成要素で成り立っているはずです。
ここで紹介したいのは価値の因数分解という考え方です。

『全体価値を構成する4つの部分価値』

①本来的機能価値
商品そのものを形作る絶対的な価値とお考えください。
たとえば、携帯電話であれば『電波がつながる』ということす。
いくら、デザインがよく、付加機能が充実していても携帯電話の本来的機能価値は『電波がつながることによる通話』であるはずです。

②付加的機能価値
商品そのものを形作る価値(本来的機能価値)以外の付加価値です。これも携帯電話でたとえると『カメラ機能』『メール機能』『アプリの充実』などが該当します。あれば更に”うれしい便利機能”です。

③本来的デザイン価値
商品そのもの本来価値に則したデザインの価値です。
携帯電話でいうと、話しやすいデザイン、コンパクトで持ち運びやすいデザイン、でっぱりが少なく、取り出し収納がスムースなデザインなどが該当します。

④付加的デザイン価値
本来的デザイン価値以外の見栄え的な価値です。たとえば、黒だけでなく、シルバーやゴールドなどのカラーや①もしくは③を装飾するデザイン価値です。
先に述べた①~③が同じでも、カラーが違えば価値が異なるということです。

ここまででお気づきになられたかもしれませんが、あらゆる商品は①の”本来的機能価値”ありきということがわかると思います。

この”本来的機能価値”を中心に付加的機能価値、本来的デザイン価値、付加的デザイン価値が組み合わさったものが商品の総合価値とお考え下さい。

また、これらの価値の付加は、商品のライフサイクル(つまり市場への浸透時間)に応じてフォーカスされる価値が変遷していきます。そして、これらの価値はライフサイクルが進むにつれて、より深く具体的に(ある意味では洗練されて)なります。

先に述べた携帯電話を例にご理解いただきやすいと思います。

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例)携帯電話で考える『全体価値を構成する4つの部分価値』の変遷 ※筆者主観

Ⅰ.黎明期(導入期)の携帯電話の価値ポイント
当然のことながら本来的機能価値第一の時代。そこに、付加的デザイン価値としてカラー展開が存在。
①本来的機能価値   :◎電話ができる
②付加的機能価値   : ―
③本来的デザイン価値 : ―
④付加的デザイン価値 :◯黒・グレー・シャンパンゴールド

Ⅱ.成長期の携帯電話の価値ポイント
本来的機能価値が当たり前化し、付加的機能価値・本来的デザイン価値が台頭。
①本来的機能価値   :△電話ができる
②付加的機能価値   :◎着音、メール、カメラ機能など
③本来的デザイン価値 :◯折りたたみ式・コンパクト
④付加的デザイン価値 :△複数のカラー展開

Ⅲ.成熟期の携帯電話の価値ポイント
本来的機能価値がより具体的になり、付加的機能価値の淘汰がされる。
①本来的機能価値   :◯電波がつながり通話が切れない
②付加的機能価値   :◎メール機能・カメラ機能・アプリ
③本来的デザイン価値 :◯コンパクト
④付加的デザイン価値 :△複数のカラー展開

Ⅳ.展開期の携帯電話の価値ポイント
本来的機能価値への原点回帰
①本来的機能価値   :◎繋がりやすい電波通話が切れない。高速通信
②付加的機能価値   :◯バッテリー、アプリ
③本来的デザイン価値 :◯シンプル
④付加的デザイン価値 :◯絞られたカラー展開

個人の価値ポイントのウエイトに差異はあっても、このようにライフサイクルと共に価値のウエイトも変遷していることがうかがえます。

また、黎明期(導入期)〜展開期にかけて商品数およびメーカー数は、以下のようになりました。
※携帯電話業界は、黎明期(導入期)〜展開期まで20年という早さライフサイクルが進んだ極めて稀な市場です。

黎明期(導入期) 商品数:少 メーカー少
成長期      商品数:多 メーカー増
成熟期      商品数:減 メーカー減
展開期      商品数:少 メーカー少

また、上記に示した商品の増減・メーカーの増減は市場の広がりとともに、先に示した価値ポイントの変遷ともリンクしています。

商品の価値を考える場合、同じ価値であれば価格競争にならざるを得ないと思います。
しかし、商品の価値ポイントがすべて同じということがあるのでしょうか?そう多くないはずです。
買い手は先にあげた
①本来的機能価値
②付加的機能価値
③本来的デザイン価値
④付加的デザイン価値
と分けて整理して商品を手に取ってくれているでしょうか?
おそらくそんな事はないでしょう。

また、①②はスペックで表現される領域で比較がされやすく、比較的男性が気にする価値ポイント。
③④はエモーショナルな価値領域で比較的女性が気にする価値ポイントとも言えるでしょう。

まずは売り手が自身が扱う商品の価値分析を行うことが大事ではないかと考えます。

とはいえ価値の認知は”購入経験値”も大きく左右すると思います。続きはまだ今度。。

《続》

次回は「2.購入経験値による価値/価格判断」